AIと仕事 2020 6 7

書名 仕事の未来
著者 小林 雅一  講談社現代新書

 よく言われることは、
「AI(人工知能)が人間の仕事を奪う」ということでしょうか。
 そういう発想になるのは、
コンピューターの仕組みをよく知らない人か、
「ターミネーター」などの映画の見過ぎでしょう。
 プログラミング言語やパソコン自作に興味がある私にとっては、
AIブームは、「仕事」が増えるだろうという認識です。
 「仕事」と言っても、プログラミングの仕事ではなく、
「単純労働」が増えるということです。
 なぜかというと、AIコンピューターに学習させる必要があるのです。
従来のコンピューターと違って、
AIコンピューターは、プログラミングよりも、学習が大事だからです。
 要するに、専門的な話になりますが、
「教師あり機械学習」が重要になるからです。
それを誰がやるか。
もちろん、プログラマーはやりません。
 少し、抽象的な話になりましたので、
もっと身近な話をしましょう。
 最近、ペットブームで、愛犬家が増えていますが、
犬によっては、極めて学習能力が高い犬がいます。
たとえば、ラブラドール・レトリーバーという犬です。
 ラブラドール・レトリーバーは、
盲導犬や警察犬になるぐらい学習能力が高いのです。
 しかし、子犬をペットショップで買ってきて、
毎日、餌をあげて大きくすると、自動的に盲導犬になるか。
それでは、「しつけの悪い成犬」になるだけです。
 毎日、ラブラドール・レトリーバーに、
「ここは横断歩道、ここは信号、
ここは踏切、ここは坂道、ここは段差あり」など、
根気よく教えていく必要があります。
 AIコンピューターも同じです。
部品を買ってきて、組み立てただけでは、ただの機械です。
AIコンピューターにも学習させる必要があります。
 たとえば、自宅の部屋の画像を見て、
「これは机、これは椅子、これはコンセント、
これは時計、これは鉛筆」など、根気よく教える必要があります。
 もちろん、1部屋だけでは精度が悪いので、
100部屋どころか、1000部屋分の画像データ、
いや10000部屋分の画像データを学習させる必要があるかもしれません。
 この作業をプログラマーがやるか。
いや、プログラマーの人件費は、非常に高い。
だから、「単純労働者」が必要になるのです。
 もちろん、AIの学習が終わると、
単純労働は必要がなくなると思うでしょうが、
AIコンピューターが学習すべき分野は、自宅の部屋の画像だけではなく、
事務室や工場の内部など、いろいろな部屋があります。
 最近では、車の車窓から見える風景も、
AIコンピューターの学習分野です。
「AIは、人間から仕事を奪うか」
 確かに、ある分野は、AIが人間に代わって仕事をするようになるでしょう。
しかし、AIは、新しい仕事も作り出していくでしょう。
 日本が「AI大国」になっていくには、
上記のような単純労働ではなく、
人口の1%を「AI人材」に充てるという目標です。
 まず、やってみることです。
頭の中で考えているよりも、実際にAIを体験することです。
 「食わず嫌い」は、ダメです。
意外な人がAI人材の適性があったということなるでしょう。
 実は、私は、ある時、
他人が作ったプログラムを読んでいる時、
「妙に美しい」と感じたのです。
 「もしかすると、ひょっとして」と思って聞いてみると、
そのプログラムを作った人は、文学部出身だったのです。
プログラムは文章なので、文章を書くのは文学部のほうが得意でしょう。
 最近、AIプログラミング言語で流行っているのは、
「Python」という言語ですが、
昔からある「C言語」と比べると、
「Python」は、文科系による文科系のための言語に思えます。
理科系の人は、「Python」は嫌いだと思います。







































































トップページへ戻る